「今日はどうされますか」と聞かれて、「いつもどおりで」と答える。本当は生え際のことも、頭頂部のことも気になっている。でも鏡の中で目が合った瞬間に、言葉が引っ込む。切ってもらっている最中もずっと考えていて、結局言えないまま会計に進む。心当たりのある人は多いはずです。この記事では、髪の悩みを美容師に切り出すための言い方そのものを用意しました。予約のときに書いておく一文、席についてすぐの一言、鏡越しに指をさして伝える方法、短くしたくないときの言い方、担当を変えたいときの伝え方。読んだあとそのまま使える形にしてあります。最後に、髪型の相談と医療の相談をどう分けるかも整理します。
言えないのは、切り出す場所を間違えているから
切り出せない理由を、性格のせいにしなくていいです。多くの場合、タイミングの問題です。
カウンセリングの時間は短い。しかも鏡越しに顔を見られている。その状態で、口に出したことのない話題を初めて言葉にするのは、単純に難易度が高いです。頭の中で文章を組み立てているうちに「じゃあ、シャンプー台へどうぞ」となる。よくある流れです。
解決策は、言葉を考える場所を、その場から外に出すこと。予約の時点で書いておく。あるいは、席に座る前に一文だけ決めておく。事前に一度でも言語化してあると、口から出る速度が変わります。
もうひとつ知っておいてほしいことがあります。美容師にとって、髪のボリュームやくせの相談は日常です。あなたが思っているより、ずっとありふれた話題として受け取られます。特別な打ち明け話にする必要はありません。
予約のときに、一文だけ書いておく
いちばん楽なのがこれです。ネット予約の備考欄、あるいは公式アプリのメッセージ欄。ここに一文入れておくと、当日は自分から切り出さずに済みます。美容師のほうから触れてくれることが多いからです。
そのまま使える書き方を挙げます。
- 「トップのボリュームが気になっています。カバーしやすい形にできればうれしいです」
- 「最近つむじのあたりが気になります。当日、見ていただいて相談させてください」
- 「生え際が後退してきた気がします。目立ちにくい前髪にしたいです」
- 「髪が細くなってきた感じがあり、ぺたっとしやすいです。立ち上がる形を相談したいです」
- 「気になっている箇所があるので、カット前に少し時間をいただけますか」
備考欄がない予約サイトなら、電話予約のときに最後にひとこと足すだけでもいいです。「当日、髪のボリュームのことを少し相談したいのですが大丈夫ですか」。この形なら30秒で済みます。
書いておくメリットは、もうひとつあります。担当者が事前に考える時間を持てることです。その場で急に振られるより、準備してもらえたほうが、出てくる提案の質は上がりやすいです。
席についてすぐの一言
予約時に書けなかった場合は、席についた直後がチャンスです。ここを逃すと、次のタイミングはなかなか来ません。
ポイントは、「どうしますか」と聞かれる前にこちらから言うこと。相手の質問に答える形にすると、いつもどおりの受け答えに流れてしまいます。
- 座って、ケープをかけてもらった直後に言う。
- 短い一文で言い切る。理由や前置きは足さない。
- そのあと「相談してもいいですか」で終える。相手に主導権を渡す。
言い方の例です。
- 「今日ひとつ相談があって。トップの分け目が気になってるんですけど、いいですか」
- 「最近ボリュームが出にくくて。目立ちにくい切り方ってありますか」
- 「髪のことでちょっと気にしてるところがあって、見てもらってもいいですか」
- 「後ろのほう、自分では見えないんですけど、どんな感じか教えてもらえますか」
最後の言い方は使い勝手がいいです。相談ではなく質問の形になっているので、こちらが弱みを見せる感じになりません。しかも答えが返ってくるので、そこから話が続きます。
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言葉だけで場所を伝えるのは難しいです。「頭頂部」と言っても、どのあたりを指しているかは人によってずれます。指をさすほうが早い。
手順はこうです。
- 鏡に向かったまま、片手を上げる。
- 気になっている場所に指先を置く。触れなくても、近づけるだけで伝わります。
- 「ここです」と言う。それだけで場所は共有できます。
- そのあとに要望を足す。「ここが目立たない形にしたいです」
見えない場所なら、スマホで撮った写真を見せる方法もあります。乾いた髪の状態で、腕を頭の上に伸ばしてインカメラで1枚撮っておく。それだけで、鏡では確認できない後頭部も共有できます。指さしより正確に伝わることも多いです。
場面ごとの言い方を、表にまとめておきます。
| 場面 | そのまま使える言い方 |
|---|---|
| 予約の備考欄 | 「トップのボリュームが気になります。当日相談させてください」 |
| 席についた直後 | 「今日ひとつ相談があって、いいですか」 |
| 場所を伝える | (指をさして)「ここが気になってます」 |
| 意見を求める | 「自分では見えないので、どんな感じか教えてください」 |
| 提案を受けたあと | 「それ、朝の自分でも再現できますか」 |
| 次回につなげる | 「同じ感じで、次も担当してもらえますか」 |
「朝の自分でも再現できますか」は覚えておく価値があります。仕上がりが良くても、翌朝ひとりで同じ形にできなければ意味がありません。ここを先に確認しておくと、家に帰ってからのがっかりが減ります。
「短くしたくない」と思っているときの言い方
相談すると短くされそうで怖い。この不安から切り出せない人は、かなり多いです。実際、短くしたほうが目立ちにくくなる場面はありますが、それを望んでいるかどうかは別の話です。
希望は先に言っていいです。むしろ、先に言わないと相手は判断できません。
- 「気にはなってるんですが、今は長さを残したいです。その前提でお願いできますか」
- 「短くするのはまだ考えていなくて。今の長さでできる範囲で相談したいです」
- 「短くしたほうがいいのは分かるんですが、仕事の都合で急には変えづらくて」
- 「今日はこの長さのままで。短くする案は、次回の参考として聞かせてください」
最後の言い方が便利です。提案そのものは受け取りつつ、今日の決定は先送りにできる。美容師の側も、提案を否定されたわけではないので話しやすくなります。
逆に、任せる部分をはっきりさせるのも有効です。「長さは残したい。それ以外は任せます」。この形なら、相手が動ける範囲が伝わります。髪型で清潔感を出す考え方は美容師に伝えるべき3つの言葉の記事のほうにまとめています。
担当を変えたいとき/医療の相談との線引き
相談してみて、どうも噛み合わない。そう感じることもあります。担当を変えたいと思ったとき、気まずさなく伝える方法があります。
- 次回はネット予約で、指名なしか別の人を選ぶ。理由の説明はいりません。
- 店に伝えるなら「時間の都合で、この曜日に入れる方でお願いします」。日程を理由にすると角が立ちません。
- 受付で「今回は別の方でお願いできますか」と言うだけでも通ります。理由を聞かれることはあまりないです。
- 店ごと変えるなら、次の店の予約時に「前の髪型はこうでした」と写真を見せると伝達が早いです。
そして、ここが大事な線引きです。美容師は医療者ではありません。髪の切り方、隠し方、乾かし方、スタイリングの相談相手としては頼りになります。一方で、頭皮や髪の状態がどういうものなのか、原因が何なのかを判断する立場にはありません。
だから、相談は2つに分けて考えてください。
- 髪型の相談:今の髪でどう見せるか。美容師に聞く。
- 状態の相談:今の頭皮と髪がどういう状態なのか。医療機関に聞く。
この2つは並行して進められます。美容師に切ってもらいながら、別途、医療機関で見てもらう。どちらか一方を選ぶ話ではありません。どこに行けばいいか迷うなら薄毛の相談は何科かを整理した記事が参考になります。
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